iシェアーズETF-JDRシリーズの
信託終了(上場廃止)のお知らせ
平成30年1月19日(金)取引時間終了までに売却せず、信託終了時に上記銘柄を保有していた投資家の皆様には、平成30年3月5日(月)より残余財産給付の手続きが行われています。残余財産給付金のお受け取りにつきご不明な点は、三菱UFJ信託銀行 証券代行部テレホンセンター(電話番号 0120-232-711 受付時間 土・日・祝祭日等を除く平日9時~17時)にお問い合わせください。また、残余財産給付金に関する留意点は以下のとおりです。
- ・ETF-JDRの1口あたり残余財産の給付⾦額は、取引コストや市場環境の変動により受託有価証券である外国ETFの基準価格を下回る場合もあります。
- ・EETF-JDRの1口あたり残余財産の給付⾦額は残余財産給付手数料(ETF-JDR1口あたり1円を上限とする金額及び計算上生じた1円未満の端数)及びこれに係る消費税等の相当額を控除した後の金額となります。
- ・残余財産給付金にはNISAの適用を受けることができません。(上場廃止後となるため)
- ・譲渡所得については、受益者ご自身で一般株式等の譲渡所得として確定申告することが必要となります。
- ・特定口座内で他の譲渡所得との間で損益通算を行なうことはできません。
- ・譲渡所得について、受益者ご自身で一般株式等の譲渡所得として確定申告することが必要となります。
税務の取扱いについては、その内容について弊社が保証するものではありません。詳細については、税務の専門家(税理士)および証券会社等にご確認されるようお願いいたします。
✧ 1口あたり残余財産の給付金額
銘柄コード | 銘柄名 | 1口あたり残余財産の 給付金額(円) |
1581 | iシェアーズ 先進国株ETF-JDR(MSCIコクサイ) | 7,408 |
1582 | iシェアーズ エマージング株ETF-JDR(MSCIエマージングIMI) | 6,632 |
1583 | iシェアーズ フロンティア株ETF-JDR(MSCIフロンティア100) | 3,845 |
1587 | iシェアーズ 米国超大型株ETF-JDR(S&P100) | 13,555 |
1588 | iシェアーズ 米国小型株ETF-JDR(ラッセル 2000) | 17,098 |
1589 | iシェアーズ 米国高配当株ETF-JDR(モーニングスター配当フォーカス) | 10,005 |
1590 | iシェアーズ 米国リート・不動産株ETF-JDR(ダウ・ジョーンズ米国不動産) | 8,489 |
1361 | iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF-JDR(iBoxx ドル建て 米国大型株を利用するための条件 LHYC) | 11,236 |
1362 | iシェアーズ 米国大型株を利用するための条件 新興国債券ETF-JDR(自国通貨建) | 7,322 |
1363 | iシェアーズ 米国債ETF-JDR(米7-10年国債) | 20,611 |
✧ 日程表
日付 | 東証での売買および信託終了について |
平成30年1月19日(金) | 東京証券取引所での最終売買日 |
平成30年1月22日(月) | 上場廃止日 |
平成30年1月24日(水) | 信託終了日 |
平成30年3月5日(月) | 残余財産給付開始日 |
平成30年6月22日(金) | 最終計算報告書発送日 |
【iシェアーズETFに関して】
iシェアーズETFの記載は、ブラックロック・インク、ブラックロック・ジャパン株式会社を含むそのグループ会社(以下、「ブラックロック」といいます。)が設定・運用等を行う国内上場投信および外国籍ETFであるiシェアーズETFに関する情報を含む投資情報の提供を目的として作成されたものです。本ウェブサイトは、本邦での募集の取扱等に係る金融庁への届出等がされていない海外ファンド等について投資の勧誘等を目的とするものではありません。
本サイトに記載された情報に基づいて利用者がとった行動により利用者が何らかの損害を被ったとしても、弊社は一切責任を負うものではありません。運用実績は、ファンドの基準通貨で表示されています。円で投資した場合の運用実績は、為替変動の影響により、表示された運用実績とは異なることがあります。個別の銘柄に関して、より詳細な情報が現地のサイトに掲載されていることがありますので、必要に応じてご参照ください。また、本サイトに記載された情報は金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
本サイトの内容につきましては、iシェアーズETFの設定あるいは上場されている国、地域の事情により、変更あるいは更新の作業が遅れている場合があります。
なおiシェアーズETFとは、ブラックロックが日本を含む世界各国で設定・運用する上場投資信託等を示す登録商標であり、個別商品を指すものではありません。
「ご投資にかかる手数料等およびリスクについてのご留意いただきたい事項」
本サイトでご紹介するiシェアーズETFにご投資いただく際には、取扱い金融商品取引業者(証券会社等)の定める手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。iシェアーズETFは、連動する指数等の変動により、投資元本を割り込むおそれがあります。なお、iシェアーズETFへ投資をされる場合は、取扱い金融商品取引業者へお問合せいただき、 上場有価証券等書面 を予め十分にお読みいただき、投資にかかる手数料等およびリスクについてご確認の上、ご自身の判断でなさるようお願い致します。
iシェアーズETFを取引する際に、投資家の皆様が負担する主な費用には下記のものがあります。
[売買時の手数料]
iシェアーズETFを売買する際の手数料は取扱い金融商品取引業者によって定められます。詳しくは取扱い金融商品取引業者までお問い合わせください。また、海外上場のiシェアーズETFの場合には、売買時の手数料の他に、為替の取引や外国金融商品市場等における費用等が別途発生することがあり、これらの費用等はお客様の負担となります。
[保有時の費用] iシェアーズETFの保有期間中は運用管理費用等を間接的にご負担いただきます。保有時の費用の率(総経費率)は個別のETF毎によって異なり、また運用状況や保有期間等に応じて異なることからその上限額を示すことはできません。個別のETFの情報については本ウェブサイトの各ファンドページにてご確認いただけます。
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iシェアーズETFに関するお問い合わせは こちら をご覧ください。
日興アセットマネジメント「ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)」の魅力に迫る
日興アセットマネジメント
資産運用サポート部長
山本 直紀
昨今、投信業界では米国を中心とする先進国の株式ファンドが売れ筋ファンドとなっています。もちろん過去にはインド株やブラジル債券ファンドなども人気がありましたが、「新興国」と言うより、単一資産への投資ですよね。
「新興国株式」投資の魅力とは?
アクサ・インベストメント・マネージャーズ
営業部長
齋藤 米国大型株を利用するための条件 邦行
「ビッグデータ新興国小型株ファンド」について
新興国株投資で、ユニークかつ高いパフォーマンスが期待できるファンドを組成できないかと考えていた時に、齋藤部長からそうしたお話を聞き、実にユニークで面白そうだと思いました。そして、2019年10月31日に設定したのが、「ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)」です。
「先進国の大企業をリサーチしているアナリストの数は大体20~30名、GAFAMではそれ以上いて、もう十分に調べ尽くされている。対して、新興国の小型企業をリサーチしているアナリストは多くても3~4名程度、ゼロという場合も珍しくない。そんな銘柄がざらにあるからこそ、定量のビッグデータ分析が効果を発揮する」という説明を受けました。
日本の「グリーン成長」を可能にする条件は?(前編)
菅首相は2020年10月26日の就任後初の所信表明演説で、2050年にカーボンニュートラルを実現する目標を打ち出した。 演説では、「経済と環境の好循環」、「省エネルギーの徹底」、「再生可能エネルギーを最大限導入」、「安全最優先で原子力政策を推進」、「洋上風力・水素・次世代太陽電池+蓄電池・カーボンリサイクルを始めとした革新的なイノベーション」、「石炭火力発電に対する政策転換」といった形で大まかな方向性は示されたものの、目標達成に向けた明確なシナリオは示されなかった。
カーボンニュートラルの目標自体の是非については既に多くの論者が様々な批判的な意見を表明している。なかでも我が国がカーボンニュートラルを達成しようとした場合、その経済的コストは我々日本国民の生活を破壊してしまうと懸念せざるを得ないレベルという点はもっと社会に広く知られるべきである。例えば地球環境産業技術研究機構(RITE)は従来目標のCO2排出80%削減を達成する場合でさえ、毎年43兆円から72兆円と国家予算の半分に相当する巨額の対策費用がかかると試算し、実際上、不可能な目標であると結論付けている。
但し、不可能であるというのは現存の対策技術を前提にすれば、ということである 注1) 。それだけに今後イノベーションをどの程度創発していけるか、イノベーションによって対策コストを抜本的に切り下げることができるかが目標達成のカギである。しかしイノベーションが生まれるかどうかを事前に察知することはできないため、現段階で明確なシナリオを示すことは不可能であるともいえる。
しかし12月25日の成長戦略会議では『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』と題する文書が公表され、カーボンニュートラルに向けたイノベーションの「工程表」が示された。同文書は冒頭、「温暖化への対応、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入した」、「従来の発想を転換し、積極的に対策を行うことが(中略)次なる大きな成長に繋がっていく」、「『経済と環境の好循環』を作っていく産業政策が、グリーン成長戦略である」と謳い上げている。
その言や良し、ではあるが、果たして成算はあるのだろうか?率直に言って単なる願望を吐露しただけにしか見えない。イノベーションが実現しなければ温暖化対応は経済成長の原資を奪うコストであるのは変わらない。またそのイノベーションが海外企業によるものであった場合、対策費用を低下させることはできるが、国内経済を成長させて「経済と環境の好循環」を作っていくことはできない。付加価値は海外企業に流れていくからだ。
本稿(と続く中編・後編)は、我が国がグリーン成長を実現していくためにはどのような条件、取り組みが必要であるかについて、中国のグリーン成長の事例と比較しながら考えてみたい。残念ながら成長戦略会議の文書で重要分野として挙げられている技術の中には国際競争力を確保できそうもないものが含まれている。まずは重要分野の筆頭に上げられた洋上風力産業を事例に議論を始めることとしよう。
日本の洋上風力-ゼロからの出発?
成長戦略会議でグリーン成長が議論された2020年12月、洋上風力に関連する衝撃的なニュースが2本報じられた。ひとつは三菱重工(MHI)の洋上風力の発電システム生産からの撤退である。MHIは元々80年代より風力発電システムの生産を行っており、かつては米国に輸出するなど、世界の風力発電メーカーの一角を占める主要企業であった。しかし2000年代以降は風車の大型化とともに進んだ価格低下についていくことができず、日本国内での生産は撤退、それでも2014年に風力発電メーカー最大手のヴェスタスに出資、合弁企業を通じて海外での風力発電システム生産に参画していた。しかし結局その後MHI本体の風力発電システムに関わる技術と競争力は向上することなく、撤退のやむなきに至ったようである。そのためグリーン成長の重要分野として挙げられた洋上風力であるが、国内企業にその担い手が存在しないという間の抜けた状況となってしまっている 注2) 。
そもそも我が国のこれまでの風力発電の導入状況を見ると、果たして風力発電が我が国に適した選択肢なのかという点も疑問がある。海外の状況を見れば、一般的には太陽光よりも風力の方が経済性は優れている。しかし日本の場合、FITによる買取価格を見れば、2019年時点で太陽光14円+税 注3) であるのに対し、陸上風力19円+税、洋上風力36円+税と風力の方が高くなっている。FIT開始年の2012年は太陽光40円+税、風力22円+税 注4) であったため、この7年間で逆転した。当初の太陽光の買取価格の設定が割高に過ぎたという点はあるとは言え、この間、太陽光はその経済性を目覚ましく向上させたが、日本の風力はFITの支援を生かせず失敗したと言わざるを得ないだろう 注5) 。
FITに後押しされた投資ブームも日本の場合、もっぱら太陽光が中心で、洋上風力に限らず陸上風力も含めて2011年から2019年にかけて風力の設備容量は2,562MWから3,786MWに増えたに過ぎない(年成長率5.0%)。他方、太陽光は4,890MWから61,米国大型株を利用するための条件 840MWへと12.6倍にまで急増した(同37.3%)。MHIを始め、かつて風力発電システムを生産していた企業が軒並み国内からいなくなったのは頼みとする国内市場を立ち上げられなかったためである。
その反省もあってか、成長戦略会議では将来の洋上風力の市場規模に目標を掲げている。2030年までに10GW、2040年までに30~45GW(浮体式含む)というものである。2019年末時点で日本に導入された洋上風力の総設備容量は66MW(うち浮体式19MW)に過ぎないから、10年間で150倍以上に拡大する計画である。気宇壮大な計画であるが 注6) 、発電システムは国内メーカーが存在しない以上、海外企業に供給を受けることになる。それでもグリーン成長に繋がるというのは風力発電システムに用いられる部品については日本国内の企業が供給できるというところに希望を持っているようだ。しかし果たしてその部品メーカーも国際競争力があるのだろうか?部品メーカーに競争力があれば、FITの買取価格はこれまでにも引き下げが可能であったのではないかと思われるし、ひいてはかつて存在した日本の風力発電システムメーカーが国内生産から撤退することもなかったのではないかという気がしてしまう。
そもそも陸上風力ではなく洋上風力を重点分野としたところにも苦しさが見える。陸上風力では欧州や中国の風力発電システムメーカーにもはや太刀打ちできないから比較的新しい洋上風力に商機を見出そうという狙いだろうが(もちろん立地面の問題などで陸上風力の拡大が今後難しいという面もあるだろう)、世界全体の洋上風力の設備容量29.1GWに対し、日本のシェアは0.2%と、現状ではほとんど存在感がないのも現実である。洋上風力で大幅に先を行っている欧州の主要メーカーを呼び込んで国内生産を立ち上げ、今後成長が期待されているアジアで日本の部品が組み込まれた風力発電システムを売り込みたい、という戦略のようだ。そのために発電システムの国内調達比率を2040年までに60%という目標も掲げた。
しかしふたつ目のニュースを聞くと、こうした筋書きの実現性に疑問を抱かざるを得ない。12月16日、福島沖の浮体式洋上風力について不採算を理由に来年度中に全基撤去する方針となったというニュースである。世界でもわずか66MWしか導入されておらず、技術的に未成熟な浮体式とは言え、36円+税のFIT価格を大幅に上回る57.3円という発電コスト、かつ故障などが相次ぎ設備利用率が30%にも届かなかったというのであるから、部品や運転管理も含め、現在の我が国の洋上風力の技術・経済性レベルが低いことは認めざるを得ないだろう。
この福島沖浮体式洋上風力には600億円が投じられ、更に撤去費用に50億円が追加で必要となる。このプロジェクトは日本を代表する錚々たる企業によるコンソーシアムで推進されたにもかかわらず、この散々な結果であることを考えると、今後洋上風力分野で日本企業によるイノベーションに成算があるようには見えない。
洋上風力投資ラッシュに沸く中国メーカーの実力
そもそも日本企業の力量不足以前に、既に強力なライバルが存在している事実を考えると洋上風力でグリーン成長を実現するのは相当難しいと言わざるを得ない。言うまでもなく中国企業がそのライバルである。
中国は2016年に米国を抜いて世界最大の風力発電国となっており、2019年の設備容量は210GW、発電量は4057億kWhで世界シェアは28.4%に達している。中国で風力発電導入が本格化したのは2006年前後で比較的その歴史は浅い。特筆すべき点は、導入過程において当初は風力発電システムの多くを海外企業からの供給に依存していたが、わずか数年で国内企業が成長、ヴェスタスを始め、中国に進出していた有力な海外メーカーとの競争を制してほとんどの発電システムが中国製となったことである。
図1の通り、新規導入量に占める国内製品の比率は2006年には41.1%に過ぎなかったが、2009年には86.8%、2018年は93.4%となっている。海外メーカーと比較すると、当初は故障発生率などの点で品質的に見劣りするものであったが、高い価格競争力を武器に優位性を確立した。中国に進出し、中国国内で生産していたヴェスタスの製品と比較しても、中国企業のシステムは2割程度低い価格であり、図の通り、中国企業によるシェア上昇に伴い、中国全体の平均設備価格は大幅に低下してきた(堀井 [2013])。
図1 中国国内の風力発電導入量と設備価格の推移
(出所)導入量は全国工商聯新能源商会編『中国新能源産業年度報告』各年版。設備価格は2015年以前は中国可再生能源学会風能専委会公表データ、2016年以降は中国産業信息網リポートの各年9月時点の2.0MW設備のデータ
他方、中国はこれまで陸上風力の導入が中心で、洋上風力は2019年時点で7.03GWと国内の風力導入量の3%程度を占めるに過ぎない。とは言え、洋上風力の設備容量は世界全体でさえ29.1GWに過ぎないので、中国の世界シェアは24%で英国、ドイツに次ぐ。そもそも洋上風力はこれまで欧州での導入が中心で、中国を除けば欧州以外ではごくわずかな導入量に止まる。アジア地域の導入量で見れば2019年末時点で、中国は95%を占める圧倒的存在である。
中国の洋上風力に関して今後を展望する上で注目に値するのは、まず中国の洋上風力の導入が近年急拡大しているという点である。2017年に初めて年間導入量が1GWを超えて1.2GWとなり、その後2018年1.6GW、2019年2.米国大型株を利用するための条件 4GWと増加してきている。その背景に中国政府が現在洋上風力に対して拠出している国家財政の補助金を2022年以降は撤廃する方針を示したことがあり、その結果、2020年に適用されていた優遇買取価格(kWh当たり上限0.75元=12円)での導入を目指して駆け込みの投資ブームが生じていることがある。陸上風力と若干異なり、洋上風力については未だに中国企業の価格競争力の高さが発揮されているとは言えない。欧州では洋上風力でも買取価格がkWh当たり8円を切るプロジェクトが出ているとされ、中国国内のプロジェクトは5割程度割高である。その原因として中国(およびアジア)では台風の影響を受けざるを得ず、そのために強度を高めたりするコストが欧州よりもかさむためと言われている。
しかし近年の導入拡大とともに、かつての陸上風力でも起こった中国企業の成長が実現しつつあるようだ。2019年までに中国国内に導入された洋上風力システムの4割がドイツシーメンスの技術ライセンスを受けて生産する上海電気製である。しかし2019年新規導入分については、依然上海電気がトップの26%であったが、東方電気のシステムを用いた遠景が25%、自らの技術を用いた金風が24%と肉薄した。国産技術による両社の製品は上海電気に比べて今後大幅な価格引き下げが期待されている 注7,8) 。現段階では品質の面で欧州メーカーに一日の長があるが、陸上風力でも実現したように国内市場の拡大とそれによる規模の経済性を武器に、中国メーカーが洋上風力の価格競争力を高めていく展開は十分想定可能である。
元々RPSを採用した陸上風力や、FITでも世界でも最低水準の買取価格から出発し、その後も果断に買取価格を引き下げたように(堀井 [2019])、中国政府は元来再エネの導入制度においても企業間の競争を促し、価格を引き下げる効果を重視してきた。洋上風力でも同様に、企業に甘い汁をいつまでも吸わせることはせず、中国企業が自らの競争優位である価格競争力を磨くよう迫っているとも見える。中国の洋上風力に関しては、既に11社の風力発電システムのアセンブリーメーカー、21社の運用企業が存在しており、丸抱えの育成から競争による優勝劣敗を通じた競争力向上へとフェーズが変わったという政府の認識かもしれない。
こうした中国の洋上風力を巡る情勢を踏まえれば、ほとんどゼロからの出発となる日本企業が中国企業を向こうに回してアジア市場に進出するという計画は到底実現可能とは思えない。中国の洋上風力は既にこれだけのビジネスが立ち上がったが、2022年以降は地方政府による補助金は残るとしても、価格を石炭火力と競合できる水準まで引き下げないと導入はストップ、ビジネスは干上がってしまうプレッシャーにさらされている。そのため最低でも2025年にkWh当たり0.4元=6.3円を下回る水準まで発電コストを下げるというのが業界の目標のようだ 注9) 。かたや日本は10年遅い2035年までにkWh当たり8~9円に下げるというのが成長戦略会議の文書で示された目標である。次元が違うとしか言えないのではないだろうか。
おわりに-再エネ分野で「グリーン成長」を期待するのは苦しい
国内市場を日本企業に優先的に確保してあげればいいという人がいるかもしれないが、それで「グリーン成長」とは呼べないだろう。国内市場だけでは規模の経済性が発揮できず、コストは高止まりする。そもそも競争がなければ結局企業はコストを下げることができないことはこれまでの多くの事例が示している。もちろんどんなに割高であっても洋上風力を導入すれば、設置やメインテナンスによって成長はするし雇用も生む。しかし余分に高い費用がかかってしまうことで、他の分野への投資を吸い取ってしまう上、電気料金の上昇を招き、日本全体で見れば他の分野での成長機会を奪い取ってしまう。その結果、国全体としてみれば洋上風力を導入しなかった場合に本来期待できた水準よりも低い成長となってしまう 注10) 。
成長戦略会議の「グリーン成長」戦略は菅首相のカーボンニュートラル宣言に盛り込まれた方向性の抱える矛盾に引きずられて迷走した内容となっているように見える。カーボンニュートラル実現に必要な対策費用は日本経済を破壊するほど巨額に上ることはほぼ間違いがない。そのため「経済と環境の好循環」、すなわち「グリーン成長」によって経済への打撃を緩和、出来れば新しい成長軌道に乗る道筋を描く必要がある。しかし既に我が国企業が競争力を失っている「再生可能エネルギーを最大限導入」するならば「グリーン成長」は成立し得ない。付加価値の重要部分を海外企業に持っていかれてしまうためである。しかし「再生可能エネルギーを最大限導入」するというのはもはやメインシナリオとなっているため今更それに抗うことはできない。それならばせめて、現在は完全には競争優位の帰趨が決していない洋上風力を、なかでも需要が極めて限定的であるために他国の企業が本格的に参入していない浮体式洋上風力を、「グリーン成長」が見込まれる分野として押し出そう、という苦しい舞台裏を見て取るのは邪推だろうか。
しかし洋上風力は既に中国企業が先行しており、今更追いつけるとは考えられないというのが本稿の分析の結論である。浮体式洋上風力は中国でもほとんど導入されていないが、市場が立ち上がれば着床式の洋上風力で競争優位を確立した中国企業が進出してきて、日本企業は太刀打ちできないだろう。日本企業の技術開発力を軽視するものではないが、再生可能エネルギーの国際競争力は技術開発力だけで決まるものではないというのは、太陽電池で2000年代まで世界の太陽電池産業を牛耳っていた日本企業が凋落し、2010年代に中国企業の躍進した経緯を見れば良く分かる。次の中編では、日本企業が競争優位を喪失し、中国企業が世界市場においてほぼ覇権を確立している現状とそこに至った要因について分析する。
まずは成長戦略会議の「グリーン成長」戦略に示された洋上風力の「工程表」は早急にその是非を含めて見直すべきである。競争力のない、割高な国内由来の洋上風力システムの開発・導入が進められる懸念がぬぐえず、その資金はより費用対効果が高い他の用途、とりわけ我が国が比較優位を持つ産業の成長に投ぜられるべきものである。
注1) 上のRITEの試算は、既に利用可能な技術に加え、現在開発が進められている商業化以前の技術も含めたシナリオ分析となっており、将来のイノベーションの効果についても一部反映されていることは留意されたい。 注2) MHIはヴェスタスに合弁企業の持ち分を譲渡するとともに、ヴェスタス本体に出資した上で、今後はヴェスタスの風力発電システムの販売を行っていくとしている。 注3) 事業用250kW-500kW未満のもの。500kW以上は入札により決定。 注4) 20kW以上のもの。 注5) 我が国で風力発電の導入が進まなかった原因としては、日本は欧州と異なり、風況が悪く、良好な立地場所が少なかったという要因も指摘されている。 注6) 但し、中国の見通しは2030年に60GWというもので、日本の6倍の規模である。 注7) 上海電気の8MWのシステム6,910元/kWに対し、東方電気10MWが6,630元、遠景5.2MWは5,000元前後であるとの報告もある(罗 [2020])。 注8) なお、着床式洋上風力の基礎工事に用いる大型油圧パイルハンマーは従来オランダとドイツ企業による独占状態であったが、中国企業が国産化に成功したことで施工コストを4割削減できる見通しが立ったとされる(罗 [2020])。 注9) 2019年の価格水準をほぼ半分にまで切り下げるわけであるから当然容易な目標ではなく、例えば発電機は35%のコストダウンが必要と試算されている。洋上風力で第3位(陸上風力では最大手)の金風の幹部は更なる国産化によって2023年までの25%のコストダウンについては目途が立っていると発言しているが、まだ距離がある。しかし重要な点は、目指す目標が欧州も含めた世界先端水準であり、少なくともアジアでは群を抜いたトップレベルであるということである。 注10) 経産省が2020年10月に公表した資料によれば、2019年のFITによる賦課金総額は2.4兆円に達し、kWh当たり2.95円の価格上昇をもたらしている。FITがなかった場合と比べて産業用で20.9%、家庭用で13.5%の負担増となっている。これだけの電気料金上昇は産業の競争力を大きく削ったことは間違いない。
【株主優待取得条件変更】JMホールディングスの株主優待取得条件などアレコレ考察
JMホールディングスの日足チャート 出典:野村證券
ペリカン先生の見解は…
#株式投資は自己責任でおねがいしますね。
JMホールディングスってどんな会社?
画像引用元:JMホールディングス公式HP
スーパーマーケット運営、茨城県土浦市本社。茨城県を中心に関東圏でスーパーマーケット(大型商業施設内店舗「ジャパンミート生鮮館」、業務用スーパー「肉のハナマサ」、「ジャパンミート卸売市場」)を営む。
大型商業施設やロードサイドなど幅広い立地への出店に特徴を持ち、 米国大型株を利用するための条件 米国大型株を利用するための条件 精肉部門を軸とした生鮮品の品ぞろえを強みとしている。 2013年9月には「肉のハナマサ」 を運営する花正を買収。 スーパー部門の精肉調達力を生かして、 焼き肉店の 「焼肉や漫遊亭」 も関東地区で展開。 スーパー、外食を合わせたグループの店舗数は約100店舗。 肉フェスなどのイベント事業やレジ業務受託事業も手がけている。
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JMホールディングスの株主構成も見てみましょう
【株主】 [単]8,836名 | 万株 |
境正博 | 512(19.2) |
境弘治 | 321(12.0) |
境和弘 | 269(10.1) |
藤原ひろみ | 106 (3.9) |
日本マスター信託口 | 97 (3.6) |
自社従業員持株会 | 85 (3.2) |
ジョイフル本田 | 80 (2.9) |
境和美 | 73 (2.7) |
藤原克朗 | 53 (2.0) |
ノーザン・トラスト(AVFC)リフィデリティF. | 43 (1.6) |
【豆知識①】会社の株式を3割以上保有する意味は?
会社にとって特に重要な事項を決議することを『特別決議』となり、その重要な特別決議を単独で否決する権限があります。つまり、33.4%(3分の1)を超える株主が賛成しなと重要なことは何も決められないってコト。ですから企業オーナーは3割の議決権にこだわります。
さらに50%(2分の1)を超える株主に認められている権限は取締役の選任、解任をはじめとして、会社の意思決定のほとんどを自ら行うことができる。(←ほぼ無敵)
ライバル企業と比べてみましょう!
コード | 企業名 | 時価総額 |
---|---|---|
2742 | ハローズ | 596億円 |
8167 | リテールパートナー | 546億円 |
3539 | JMホールディングス | 515億円 |
8217 | オークワ | 508億円 |
9823 | マミーマート | 250億円 |
ペリカン
この調子で『JMホールディングス』の本社も見てみましょう
Googleマップより
Googleマップより
ストリートビューでも本社を確認してみたいと思います!
Googleストリートビュー
社長の顔も見たいですよね?見たいです。
境正博(さかいまさひろ)茨城県出身。1996年東京商科学院専門学校卒業後、食肉企業のダイリキに入社。99年に同社を退職し、ジャパンミートに入社。2009年から代表取締役社長(現任)。1975年9月生まれなので現在46歳(2021年10月現在)
さて、 米国大型株を利用するための条件 赤ちゃん顔 ベビーフェイスの境正博社長はどれくらい自社株を保有しているのか気になったので調べてみました。
5,125,200株お持ちのようです。時価にして97億1,225万円程。(1株あたり1,895円として)
たっぷりと自社株を保有していて安心しました。社長が自社株を保有していない会社の株なんて買いたくないですからね。
さあ、どんどん行きましょう!次は『業績』
JMホールディングスの業績推移 出典:株予報Pro
トリプル・ワン・プロポーション
売上 | 1269.6億円 |
---|---|
総資産 | 513.4億円 |
時価総額 | 606億円 |
JMホールディングス(3539)の株価データ
【リアルタイム】5日間分のJMホールディングスの株価チャート
JMホールディングスの利回り(100株保有)
JMホールディングス(3539)の株主優待
毎年7月末日現在の株主名簿に記載または記録された1単元(100株)以上保有の株主に株主優待が頂けます。
株主優待の内容
精肉関連商品
100株以上 | 2,000円相当 |
---|---|
500株以上 | 3,000円相当 |
1,000株以上 | 5,000円相当 |
10,000株以上 | 10,000円相当 |
100株以上 | 2,000円相当 | 米国大型株を利用するための条件
---|---|
500株以上 | 3,000円相当 |
1,000株以上 | 5,000円相当 |
10,000株以上 | 10,000円相当 |
【おすすめ証券会社ベスト3】株主優待タダ取り(クロス取引)するなら
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クロスするなら口座開設必須でしょ
【確定申告】特定口座でも節税ができる具体的な方法
だから、手続きさえちゃんとしたら還付されるんです。この時ばかりはマネーリテラシ―と言う防具を身に着けておいて良かったと思います。
ペリカン(@Pelican_Blog )です。本日も、ブログをご覧いただきありがとうございます┏○))ペコ いよいよ確定申告の時期になってきました。 特定口座で配当金を受けている方の多くは「源泉徴収あり」にしていると思います。この「源泉徴収あり」にしていれば、配当金からも自動的に納税が行われており、収入によってはかなり税金が還付されますので年一回の取り戻すチャンスを利用したらいかがでしょうか。 税金に関しては『朗報』と『悲報』があります(私にとってですが) まずは朗報から。配当控除を確.
ペリカン(@Pelican_Blog )です。本日も、ブログをご覧いただきありがとうございます┏○))ペコ 米国株の好調な地合いもあり、最近になって米国株投資を始めた方も多いのではないでしょうか。わたしも2019年より時代の波の乗るべく『米国株』投資を始めた1人でございます。 2021年中に受け取った米国株からの配当金から強制的に徴収される外国税をわずかな手間で還付されるので手続きをしたいと思ってます。 米国株・米国ETFは 外国税額控除の確定申告して納め過ぎた税金を取り戻しましょう! 日本と国内.
ペリカン(@Pelican_Blog )です。本日も、ブログをご覧いただきありがとうございます┏○))ペコ 終息が見えない新型コロナウイルス。そんな中、今年は思いのほか『儲かった』って方も多いのではないでしょうか。実際にワタクシも絶好調とは言いませんが、そこそこの成績を収めています。(えっへん!) と…言っても高配当の長期保有をメインにしている私はただ握力を強めに株を保有しているだけだったのはナイショです。 そして、忘れてならないのは『ふるさと納税』もう、毎年恒例ですよね。ただ、意外と知ら.
キヤノンの株価は割安?高配当利回りで、優良な大型株だが、今後の業績に注意が必要
個別株の株価分析
- 「キヤノンの高配当利回りに興味があるけど、業績や財務はどうなんだろう?」
- 「キヤノンの株価は割安?割高?」
キヤノンは 世界トップクラスの精密機械メーカー です。一般消費者には一眼レフカメラやインクジェットプリンターなどで有名ですが、それ以外にも複合機や商業用印刷機、半導体露光装置などで世界トップクラスの製品を持っており、日本が誇る優良大企業のひとつです。
キヤノンは優良企業のイメージに加えて、 配当利回りも高い ので、特に高配当株投資家に人気があります。
一方、キヤノンの株価は2018年初の高値から 約50%も下落 しています。今の株価は買い時と考えてよいでしょうか?当サイト(ロイナビ)のアンケートでも株価分析希望が多かったので、調べてみました。
本記事では キヤノンの業績や財務内容、株価の割安さなどから、今の株価は買い時なのか? について私の考えを紹介します。
楽天証券を使うと、 1日の合計売買金額が100万円まで、手数料無料 です(いちにち定額コースの場合)。日本株・ETF(単元株)の 約98%は100万円以下 ですので、1日に何度も売買するのでなければほぼ無料で投資できます。
私の代表的な6つの投資判断基準
投資判断基準は投資スタイルによって異なります。私の場合、 業績好調な割安株(バリュー株)への投資 が好きなので、以下の6つの観点を重視しています。
キヤノンの業績は長期的に低迷が続いている
- 売上高:右軸
- 営業利益:左軸(0からのスタートではないことに注意してください)
2020/1/29発表の通期予想では、やや回復する見込みになっていましたが、その後のコロナショックで業績予想は未定に変更されています。キヤノンの業績は しばらく苦しい状態が続きそう です。
今後は、収益の柱であるオフィス部門の業績悪化が懸念される
その結果、オフィスにおける 文書印刷需要が低下しており 、2020年1-3月期のオフィス部門の売上高は 前年同期比 9.4%減 となっています(同部門の税引前四半期純利益は前年同期比 2.4%増となっていますが、これは経費の削減によるものです)。
コロナ問題により、本格的にテレワークが進んだ4-6月期は、さらなる売上減少が予想されます。 コロナ問題による急速な働き方の変化は、キヤノンの業績にとって大きな懸念材料 となっています。
今後は、医療部門などの育成がカギ
キヤノンは今まで業績の柱だった、オフィス部門、イメージングシステム部門(カメラなど)、産業機器部門(半導体露光装置など)に加えて、 メディカルシステム部門(X線診断装置など)を育成 しようとしています。
2019年のメディカルシステム部門の売上高、利益はともに約10%ですが、今後の業績を支える部門として成長が期待されています。キヤノンに投資する場合は、 米国大型株を利用するための条件 医療部門の伸びに注目しておくとよさそう です。
キヤノンの営業利益率は約4.9%で、減少傾向である
2つ目の判断基準は、利益率の高さです。 利益率は競争力の強さを表す目安である と考えており、利益率は高いほど良いです。
2000年代のキヤノンは高収益で知られ、営業利益率が10%を超えていました。しかし、リーマンショック以後、 長期的に営業利益率の減少が続き、2019年3月期はとうとう約4.9% になってしまいました。
現在のキヤノンは営業利益率は減少が続き、すでに平均以下になっています。キヤノンの 競争力は徐々に低下している と考えられます。
キヤノンの営業キャッシュフローは長期的に減少傾向である
特に重要といわれる、 営業キャッシュフローは毎期プラス となっています。
ただし、営業キャッシュフローが長期的に減少傾向である点が気になる
一方、キヤノンの営業キャッシュフローは、 長期的に減少 しています。大規模な企業買収や、過去の高配当を継続していることなどもあって、現金・現金等価物は徐々に少なくなっています。
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の銘柄スカウター の財務分析ツール のスクリーニング機能
キヤノンの財務は健全だが、純資産はやや減少傾向
キヤノンの自己資本比率は約57%で高い
キヤノンの自己資本比率をみると、 約57% です。
自己資本比率の目安として、30%くらいで普通、40%以上あれば優良といわれます。自己資本比率が約57%というキヤノンの 財務は比較的よい水準 です。
また、短期財産(預金等)+ 運転資本(資産側)≧ 運転資本(負債側)+ 短期借入金となっていて、短期的な資金繰りにも全く問題ありません。 キヤノンの財務は健全 です。
ただし、気になる点が2つあり、今後の業績に注意が必要
- 無形固定資産が比較的多い
- 純資産が減少傾向である
無形固定資産が比較的多い
つまり、今後の業績次第で、 最大で純資産の1/3程度が減ってしまう可能性 があります。
純資産が減少傾向である
しかし、キヤノンの純資産は高額な配当支払いなどのため、やや減少傾向となっています(2019年の実績配当性向は約136%です)。つまり、 配当の支払いで財務が少しずつ悪化していて、将来の成長余力が削られてしまっている 状況です。
キヤノンの株価は適正な水準
キヤノンの株価は2018年初の高値(約4400円)から 半値(約2200円)に下落 しています。今のキヤノンの株価は買い時でしょうか?
- PER(株価収益率)
- PBR(株価純資産倍率)
- 企業価値評価手法による理論株価
一方、私が最も重視しているのが、「 企業価値評価手法による理論株価 」です。
企業価値評価手法では 事業性と資産性を総合評価 するため、合理的に株価の割安度を測ることができます。
キヤノンはPERが約15倍で、適正な水準
キヤノンのPERは2017, 2018年に一時24倍近くになりました。しかし、コロナショックによる株価急落で、現在の PERは約15倍 となっています。PERの平均値は15倍くらいが目安といわれますので、 現在のキヤノンのPERは適正な水準 です。
キヤノンはPBRが約0.92倍で、やや割安な水準
キヤノンのPBRは2018年初に1.8倍を超えていましたが、その後は低下を続け、現在の PBRは約0.92倍 です。
キヤノンの株価は理論株価(企業価値)に対してフェアバリュー(適正)
そのため、私が株価の割安さを判断するときは、 企業価値評価手法によって求めた理論株価 を重視しています。
その結果、事業価値と財産価値の合計から有利子負債を引いて求めた理論株価は、2340円となっています。キヤノンの実際の株価は2217円(2020/5/1終値)ですので、少し割安な フェアバリュー(適正株価) と考えられます。
株主価値と時価総額の推移
したがって、下図は 株主価値⇒理論株価、時価総額⇒株価 と置き換えて見てください。
キヤノンの2018年頃の市場価値は、 株主価値を大きく上回っていました (つまり、割高)。キヤノンは優良企業として有名でしたし、配当利回りも高かったため、人気があったからです。
しかし、2018年以降に米中貿易摩擦による景気低迷やコロナショックがあったため、 現在の市場価値は株主価値に近いレベル になっています。長期投資の予定ならば、投資してもよさそうな水準です。
ただし、キヤノンの業績は低迷を続けており、 米国大型株を利用するための条件 米国大型株を利用するための条件 株主価値も減少傾向 です。コロナショックで景気が一段と悪化した場合、業績低迷により株主価値が減少し、 さらなる株価下落の可能性 もあります。
キヤノンの株価は過去に比べてだいぶ安くなっていますが、業績悪化を考慮すると、 格安とはいえない水準 米国大型株を利用するための条件 です。大幅な下落を待ってから投資する、もしくは業績の良化が見られるのを待ってから投資するのが良さそうです。
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の財務分析ツール のスクリーニング機能
キヤノンの配当利回りは高いが、株主優待はなし
配当や株主優待には賛否両論あり、無いほうが良いという人もいます。しかし、 配当や株主優待がある銘柄は、市場がショックに見舞われたときの株価下落率が比較的小さい という良さがあります。
そのため、私は 業績などを最優先としたうえで、株主還元姿勢がある銘柄はなおよい と考えています。
キヤノンの配当利回りは高い
キヤノンは配当予想を出していない時期が多く、2020年12月期の配当金は未定です。もし前期と同じ160円/株と仮定すると、 約7.2% となります。
キヤノンの配当金は長期的に増加している
ただし、近年のキヤノンの業績は低迷しており、2019年の配当性向は 約136%です 。
※配当性向とは、税引後純利益のうち、何%を配当金として支払ったかの指標
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